プラントベースとの出会いは怪我を機に渡ったオーストラリア
『ベジアスリート連載』第6回。
今回は、バスケットボールプレーヤーの山田愛さんにインタビューさせていただきました。
怪我を機に、環境を変えようとオーストラリアに渡り、プラントベースに出会った愛さん。
現地での生活や、バスケ以外で活動されているアートについてもお伺いしてみました!
プロフィール
山田愛さん
三重県出身、高校は愛知県の桜花学園を卒業
2011年U-16アジア選手権では優勝、2012年U-17世界選手権では4位
元JX-ENEOS所属で2019年にオーストラリアに渡る
目次
海外挑戦中のバスケットボールプレーヤー・山田愛選手
柏井:
まず初めに自己紹介をお願いします!
山田:
バスケットボールプレーヤーの山田愛です。26歳です。
日本のプロで5年間プレーした後、3度目の前十字靭帯断裂を機にオーストラリアに渡航しました。
現在は、コロナの影響により一時帰国していますが、次の海外挑戦に向けて準備中です。
食事スタイルとしてはフレキシタリアンの食生活をしています。
よろしくお願いします!
柏井:
バスケットボールはいつからプレーされているんですか?
山田:
バスケを始めたのは小学校3年生で、高校からそのままプロに入りました。
出身は三重県ですが、愛知県にあるバスケの名門高校からオファーをいただき、高校生からは寮生活をしていました。
そこから日本のプロチームで5年間プレーをし、渡豪という流れですね!
怪我を機にオーストラリアへ
柏井:
プロ5年目に、3度目の前十字靭帯断裂を経験されたんですね。
山田:
高校2年生、プロ1年目、プロ5年目の3回です。
前十字靭帯断裂は、復帰に1年ほどかかるとても大きな怪我でした。
普通であれば、日本で結果を出してから、海外でのプレーに挑戦します。
しかし私の場合は、怪我が続きなかなか結果は出ず、先が見えないような状態でした。
そこで、個人で行くしかない、環境を変えよう、と想いオーストラリアに行くことを決めたんです。
日本でもトップのチームには所属させてもらっていたので、そのチームを辞めるということも、自分にとってはとても大きな決断でしたね。
柏井:
渡航先に、なぜオーストラリアを選ばれたのですか?
山田:
16、17歳の時に、海外の舞台でプレーしたことがあり、そこで感じた日本との違いに惹かれ、漠然と海外へ行きたいという気持ちがありました。
オーストラリアを選んだのは、私が大好きなアートとコーヒーが盛んな街でもあるメルボルンに行きたかったからです。
怪我をしていたので、バスケ以外にも自分の好きなものが集まっている場所にしようと思い選びました。
「海外でチャレンジしたい」今後の方向性が定まった渡豪
柏井:
現地での生活はどうでしたか?
山田:
私の中での当たり前がいろいろと覆りました。
日本にいた時は、プロの間も寮生活で、朝昼夜と1日中バスケをしていました。
しかし、オーストラリアの人は、生活(ライフ)を大事にする文化を持っていて、
バスケの選手も、自分が幸せでいられる私生活があるからこそ、バスケもできるという考え方をしています。
なので、心にも余裕があるように感じました。
選択肢って実はもっといろいろあったんだな、って思わされましたね。
柏井:
オーストラリアでは具体的にどう過ごされていたんですか?
山田:
コロナで帰国したので、結果的にオーストラリアにいたのは1年間でした。
その間は、リハビリを続けながらもバスケの練習をし、競技レベルのアップに励んでいました。
また、指導してくれていたコーチの紹介で、現地のチームに所属もできたのですが、その矢先にコロナが流行ってしまい、帰国することになりました。
しかし、バスケ以外のことも含めて、オーストラリアでの経験によって、「自分は海外でチャレンジしていきたい」という今後の方向性を見つけることができたので、今はまだ渡航は難しいですが、海外挑戦に向けて頑張っています。
ヴィーガンフードが豊富なオーストラリア
柏井:
ベジタリアンにはどのようにして興味を持たれたんですか?
山田:
オーストラリアのカフェには、どこでもヴィーガンメニューが置いてあったことから、ヴィーガンが気になり始めました。
駅の中などにも、ヴィーガン・オーガニックショップが普通にあって、小腹が空いた時には植物性のプロテインバーがすぐ買えたんです。
柏井:
愛さんご自身が食生活を変えたのはどのタイミングだったのですか?
山田:
オーストラリアでヴィーガンに興味をもち、自分が食生活を変えたのは、日本に帰国してからでした。
友人が健康や栄養について本格的な勉強をしていて、その結果サラダをたくさん取るような食生活に変えていました。
それが気になって、私も日本の食文化の歴史や、現代の食事スタイルが出来上がった背景などをネットで調べ、自分も食生活を変えようと決めました。
さらに、『ゲームチェンジャーズ』というドキュメンタリーを見て、さらに刺激を受けました。
自分で心身のコントロールができるように
柏井:
食生活を変えられてから、感じられた変化はありましたか?
山田:
食事に対する意識が変わったことです。
「食べたいから食べる」のではなくて、ちゃんと考えて食を選択できるようになりました。
例えば、食品表示をチェックしたり、野菜をたくさんとって体の中を綺麗にしようと意識したり、調味料もこだわって選んだり、などです。
食に対する知識が増えたので、自分の体をちゃんとコントロールできている感覚を今は持てています。
柏井:
「コントロール」とは具体的にどういったことですか?
山田:
パフォーマンスを出したい時は、それに向けて体を引き締めたりと、自分なりに準備ができるようになったことです。
また、トレーニングやワークアウトの場面にも影響しています。
これまでは、トレーナーさんに言われたトレーニングメニューをこなすだけでしたが、どこを鍛えるべきか、どんなメニューをすべきかを自分で考えた上で、自分から習いに行くようになりました。
柏井:
プレーの中でも変化もありましたか?
山田:
食事やトレーニングを自分でコントロールできるようになったことで、精神面もパフォーマンス面にも余裕ができたからか、特に海外のプレーヤーに当たり負けしなくなったなと感じていますね。
大好きなハワイの絵を描いてTシャツ作り
柏井:
アートやデザインの活動もされているということですが、アートを始めたきっかけについてお伺いしたいです。
山田:
3度目の前十字靭帯断裂の際に、3日間足を動かせず、座りっぱなしの生活をしていました。
その時、「家で何しよう。」と考えた時に、部屋に飾ってあった絵画が目に入って、「暇だし、あの絵を真似して描いてみよう。」って絵を描いたのがきっかけでした。
柏井:
その絵はどこかで買われたんですか?
山田:
チームの優勝旅行で大好きなハワイに行った時に買ったんです。
ハワイの風景の描いた絵だったのですが、アートを買うという経験を初めてしたのが、この時でした。
柏井:
愛さん自身はどういった絵を描かれているのですか?
山田:
私も、ヤシの木や海といった、ハワイの風景を描いています。
インスタなどで「ハワイ」と検索して出てきた画像から、気に入った風景を絵にしています。
柏井:
絵の販売や展示は行われていたりするんですか?
山田:
オンラインショップで絵とその絵を載せたTシャツなども販売していますよ!
今は、恵比寿にある「ヘンプカフェ」というカフェでもアートを展示していただいています!日本って、アートを買う文化があまりないと思っていて、そういう文化を少しでも広げれたらと。
大切な人が健康で幸せでいてほしい
柏井:
バスケやオーストラリアの話から、アートの話までたくさん聞かせていただいてありがとうございます!最後に、この連載を通して愛さんからのメッセージをお願いします。
山田:
私が今の食生活を送っている1番大きな理由は、健康や人の体への意識です。
体は食べた物からできています。
どうして発ガン率や心臓病が多いのか、食品に含まれている添加物は体にどういった影響があるのか。
テレビやインターネットには、健康についてさまざまな情報がありますが、そのまま鵜呑みにするのではなく、自分で調べて知識をつけることが大事だと思っています。
大切な人が健康で幸せでいてほしい。ただそれだけです。