全日本三連覇。ヴィーガンで追い込み続けられる体に。【小松原美里選手】
『ベジアスリート連載』第4回。
今回は、フィギュアスケート・アイスダンス日本代表の小松原美里(こまつばらみさと)選手にインタビューさせていただきました。
自身にがん腫瘍が見つかったことをきっかけにヴィーガンに移行した小松原選手。
その後、全日本選手権を三連覇中です!
2022年の北京・冬季オリンピックの出場枠も獲得され、これからオリンピックに向けた練習が本格化します。
ヴィーガンを始めてからの変化について詳しく伺っているのでぜひご一読下さい。
プロフィール
小松原美里さん
28歳、岡山県出身。
フィギュアスケート・アイスダンス日本代表。
世界選手権にて、2022年の北京・冬季オリンピックの出場枠を獲得。
ジュニアの頃から国際大会に出場し始め、様々な国での大会、合宿、移住を経験。
最近の成績としては、全日本三連覇中、世界選手権19位、NHK杯優勝、国別対抗戦3位。
目次
フィギュアスケート・アイスダンス日本代表の小松原美里選手
柏井:
今日はアメリカからインタビューにご参加いただき、ありがとうございます。初めに、自己紹介をお願いします。
小松原:
フィギュアスケート・アイスダンス日本代表の小松原美里です。
岡山県出身の28歳です。
最近の競技成績でいえば、全日本選手権を三連覇中です!
今はアメリカで練習を行っています。
よろしくお願いします。
柏井:
2022年の北京・冬季オリンピックの出場枠も獲得されたということで、おめでとうございます!
小松原:
ありがとうございます。
世界選手権で日本の選手が五輪枠を獲得できたのは12年ぶりだそうで、とても嬉しいです。
これから、冬季オリンピックに向けて練習を本格化していく予定です。
野球少女からフィギュアスケーターに
柏井:
テレビでオリンピックの試合観させていただきます!ちなみに、フィギュアスケートは何歳から始めたのですか?
小松原:
小学4年生の時に始めたので、今年で21年目になります。
実はフィギュアを始めるまでは、お兄ちゃんの影響で野球少女だったんです。
しかし、ある時突然「野球は男の子ばっかりで嫌だ。」と言ったそうで。
そこで、母や小学校の先生の勧めでフィギュアを始めることになりました。
柏井:
プロを目指されたのはいつ頃だったのですか?
小松原:
地域のスケートクラブに通い始めたころから、自然と意識していましたね。
何回か、フィギュアスケートを諦めかけたタイミングはありましたが、20歳の時にイタリアのチームに声をかけていただきました。
そこで、イタリアに移住した際にヴィーガンになりました。
23歳で腫瘍が見つかり、ヴィーガンに
柏井:
ヴィーガンの生活を始めたきっかけは何だったのですか?
小松原:
イタリアに移住してから2年ほど経った時に、子宮の近くに腫瘍が見つかったんです。
日本に帰ることも出来なかったので、イタリアで海外での初手術を経験しました。
無事に手術は成功したのですが、「死」というものをリアルに感じました。
「自分の身体を作っているものは何か?」を探っていくと食事に辿り着いたんです。
柏井:
ヴィーガンの食生活を始める前は、どのような食事をしていたのですか?
小松原:
イタリアでの食事は、チーズにサラミ、肉、ピザ、パスタ……という感じでした。
何かを変えなければまた怖い思いをすると思い、いろんな健康法を調べました。
そこで出会ったのがヴィーガンでした。
イタリアでも当時、ヴィーガンが流行っていたんですよね。
それに、もともと動物を食べるということにも違和感を抱いていました。
動物を食べなくても生きていける、それに健康にもいいヴィーガン。
やらない理由がなかったですね。
柏井:
ヴィーガンを始めた理由の一つには、動物倫理の側面もあったんですね。ヴィーガンをする前はアスリートとしての栄養管理はどのように行っていたのですか?
小松原:
痩せるために、無理なダイエットを続けていました。
スケートという競技上、「痩せておくべき」という意識が根強くあり、細い体型の方が褒められます。
「痩せるためなら、ダイエットをすべき。そのせいで生理が来なくても仕方ない」という人もいました。私自身、小学校や中学校の時は拒食症になっていて、よく骨を折っていたんです。でも、見た目は良いかもしれませんが、健康ではありませんよね。
私は正直この考え方は変わるべきだなと思っています。
ヴィーガンを始めてから健康チェックの結果は完璧
柏井:
ヴィーガンを始めてからは、栄養管理はどのように行っているのですか?
小松原:
当初、栄養士の先生には「お肉を食べてほしい」を言われることもありました。
しかし、ヴィーガンを始めて3年半ほど経った頃に、日本スケート連盟が行っている選手への健康チェックがあったのですが、結果は数値が完璧でした。
骨密度も年齢に対して122%の結果で、栄養士の先生も「このままで大丈夫です。」と言わざるを得ない感じでした。
柏井:
健康チェックの結果で、栄養士の先生を納得させてしまったんですね。
小松原:
そうですね。
今はオリンピックに向けて大事な時期なので、アメリカで勉強されてきた、ヴィーガンに理解のあるスポーツ栄養士さんについてもらっています。
あとは、ベジアスリートの仲間に教えてもらったオーガニックのビーツジュースを大会前に飲んでいます。
これを飲むと血の巡りが良くなるのか、とても集中して演技ができて、体や筋肉もとても動かしやすいんです。
柏井:
ビーツって「飲む輸血」とも言ったりしますもんね。
ヴィーガンを始めてから全日本三連覇中
柏井:
ヴィーガンを始めてからは、変化を感じられましたか?
小松原:
最も変化を感じるのは、「回復力」です。
消化への負担が軽くなり、これまで消化に使っていたエネルギーが体の修復に回っている感じがします。
以前は、乳製品をよく食べていたのですが、ずっとお腹に残る感覚があったんです。
赤道付近とアジアにおいては80〜100%の人が乳糖不耐症と言われているそうで、自分もこれだったのだと思いました。
乳製品を辞めてからは、肌も綺麗になりました。
胃と腸がすっきりしている事で、スタミナアップも感じています。
柏井:
ヴィーガンを始めてから、全日本選手権を三連覇されていますが、競技成績のアップにどう影響していると思われますか?
小松原:
競技に直接結びつくというよりは、回復力とスタミナアップによって日々の練習をしっかり積み上げられることだと思います。
疲れる練習をしても、疲労があまり蓄積されず、次の練習に取り掛かれます。
追い込むことは出来ても、追い込み続けることって難しいですが、アスリートにとってはとても重要なことです。
この点が、競技において他の人との差を生むことができる要因だと思います。
柏井:
生活面では何か変化はありましたか?
小松原:
これまで罪悪感がありながらお肉を食べていたので、動物を守ることに対して何かしらアクションできていることに、ホッとした気持ちでいます。
完璧でなくても、優しい生活に近づく一歩
柏井:
たくさんお話を聞かせていただきありがとうございます!最後になりますが、この記事を読んで下さっている方へのメッセージをお願いします。
小松原:
環境のため、動物のため、いろんな理由で菜食中心の生活を選ばれているかと思います。
その行動は、より優しい生活に近づく一歩だと思います。
完璧にヴィーガンじゃなくても週1で菜食を取り入れるなど、少しずつの行動が変化を生んでいくはずです。
私はアスリートとして体を酷使していますが、今のところヴィーガンを始めていい方向にしか働いていません。
なので、ヴィーガン、ベジタリアンを実践されている方は自信を持って続けていただきたいです。
みなさんが、自分なりにお野菜生活を楽しめたらいいのではないかと思います。
菜食に挑戦することに不安があれば、是非インスタグラムのDMでもご相談ください!
柏井:
現在は、アメリカに住んでいらっしゃいますが、アメリカのヴィーガン生活はどんなものですか?
小松原:
スーパーでも普通にビヨンドミート(代替肉)がお肉コーナーに売られていて、
ヴィーガンやベジタリアンじゃない人でも、「こっちの方が脂っこくなくて好き。」と言って買われています。
ヴィーガンへの敷居が低い感じがしますね。
美里さんお気に入りレシピは車麩のカツ
きーゆーさんの車麩のカツ
柏井:
ちなみにレシピを調べるのにブイクックもよく利用して下さっているそうで、ありがとうございます!
小松原:
クラファンも支援しましたよ。
リターンのステッカーもパソコンに貼っています!
柏井:
そうなんですね!ブイクックの中でお気に入りのレシピとかはありますか?
小松原:
たくさんあるのですが……やってみて感動したのは、車麩のカツ。
車麩の可能性を感じました!
柏井:
車麩美味しいですよね。
レシピはこちらですので、ぜひ読者の皆さんも作ってみて下さい!
この度はありがとうございました。
次回のベジアスリート連載もお楽しみに。