体重87キロのラグビー選手、プラントベースの食生活で気づいたこと

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公開日: 2021/10/18 / 最終更新日: 2023/04/14
体重87キロのラグビー選手、プラントベースの食生活で気づいたこと

『ベジアスリート連載』第5回。
今回は、ラグビー新リーグ「LEAGUE ONE」ディヴィジョン1所属の髙橋拓朗選手にインタビューさせていただきました。
所属するチームのコーチがヴィーガンだったことをきっかけにプラントベースを取り入れるようになった髙橋選手。
プラントベースのラグビー選手としての食事についても詳しくお伺いしたので、ぜひご一読下さい!

 

 

髙橋 拓朗

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ所属
29歳、群馬県出身
182cm 87kg

ラグビー新リーグでディヴィジョン1チーム所属の髙橋拓朗選手です

 

 

柏井:

今日はベジアスリート連載にご登場いただきありがとうございます!まず初めに自己紹介をお願いします。

 

髙橋:

クボタスピアーズ船橋・東京ベイに所属しているラグビー選手の髙橋拓朗です。
身長182センチ、体重は87キロで、群馬県出身の29歳です。よろしくお願いします。

 

柏井:

よろしくお願いします!自己紹介に身長と体重が出てくるのが、ラグビーならではな感じがしますね。ラグビーはいつからされていたんですか?

 

髙橋:

ラグビーを始めたのは、小学3年生の時で、前橋ラグビースクールというクラブチームに通っていました。
中学校では陸上部に入りながら週末にラグビーを、高校から大学ではずっとラグビー部に所属していました。
大学卒業後からは今のチームに所属していて、入団して今年で8年になります。

柏井:

今日もインタビューの後、午後から練習に行かれるんですよね。

 

髙橋:

はい。次のリーグの試合が1月からあるので、今はそれに向けて練習を頑張っています。

 

 

きっかけはチームにいたヴィーガンの一流コーチ

 

柏井:

ではさっそくですが、何をきっかけにプラントベースを取り入れるようになったんですか?

 

髙橋:

数年前までチームにいた、イギリス人のS&Cコーチ(ストロング&コンディショニングコーチ)がヴィーガンだったことから興味を持ちました。
S&Cコーチというのは、ジムでのウエイトトレーニングや、ランニングメニューを考えたりする人です。
彼は、自分たちのチームに来る前、ラグビー強豪国のオーストラリアのチームにいました。
当時の私は、「筋肉=肉」だったので、ヴィーガンというものにピンと来ませんでした。
しかし、こんな一流のS&Cコーチが肉を食べないライフスタイルを送っているということが気になって仕方なかったんです。

 

柏井:

興味を持ってから、実際にプラントベースの食生活に切り替える時は、どのようなステップを踏んだのですか?

 

髙橋:

自分は、興味を持ったことはすぐに実践するタイプなので、決めた次の日には完全なヴィーガンをやってみました。
コーチがヴィーガンだったので、やっても大丈夫という安心感があったんです。

 

練習と両立できる、自分に合ったプラントベース

 

 

柏井:

ヴィーガンを始めた当初はいかがでしたか?

 

髙橋:

始めたての時、ラグビー選手なのにお肉を食べていないということに少し引け目を感じることもあって、ヴィーガンをやっていることを周りの人に言っていませんでした。
また、食事で苦労することはしばしばありましたね。

 

柏井:

どういったことで苦労しましたか?

 

髙橋:

練習の後、チームでディナーが出るのですが、そのディナーを食べずに家に帰って食べるようにしました。
しかし、練習の後なので自炊する体力もなく、豆腐や納豆、サラダを毎日のように食べていました。
そうすると、食事がマンネリ化してしまって、食事が辛くなってしまったんです。

 

柏井:

たしかに、練習の後だと、料理する気力も体力も残っていないですよね。

 

髙橋:

そうなんですよね。
体重も減ってきてしまって、これでは本末転倒だと思い、無理しすぎない食生活にすることにしました。
そこで、チームのディナーについて自分はお肉を食べないことを相談してみたんです。
すると、お肉料理の部分を魚に変更することならできる、と言って下さり、肉抜きのメニューを提供して下さいました。
最近では、ソイミートで作ったキーマカレーを用意して下さったんです。

 

柏井:

柔軟に食事への対応してもらえるの嬉しいですね。

 

髙橋:

今は、場合に応じて魚や乳製品もいただいていますが、野菜を基本とした食生活を送っています。

 

1日の摂取カロリーは約4500kcal

 

 

柏井:

アスリートとしての体作りの観点で、食事に関して意識されていることはありますか?

 

髙橋:

その時に自分の体が何を欲しているかを感じるように意識しています。
ラグビーは競技の特性上、体重が必要なスポーツなので、お米の量は測って食べていますが、
例えば、「今日は野菜まだ少ししか摂れていないな」って思ったら野菜多め食べたり、「運動量少なかったな」と思ったらお米を減らして副菜を増やしたり、「今日は追い込んだな」って思ったときはタンパク質を増やしたり、という感じです。
食べるものをあまり細かくは決めず、その日その日に合わせて調整しています。

 

柏井:

ちなみに、カロリーベースだと1日どのくらい食べられているんですか?

 

髙橋:

僕の場合だと1日に4000〜5000kcalは食べるようにしています。

 

柏井:

運動をしている男性の平均が2400〜3000kcalと言われているので、やはり多いんですね!

 

髙橋:

基礎代謝量(何もしなくても体が勝手に消費するエネルギー量のこと)が2000kcal以上あり、それに加えてラグビーで消費している分のエネルギーを考えると、それくらい必要になってくるんです。

 

柏井:

普通に食事をして4000〜5000kcalに達するのってなかなか難しいと思います。野菜は基本的にカロリーが低いですが、何をカロリー源としているのですか?

 

髙橋:

カロリーを稼いでいるのはやはりお米です。
少なくても、朝ごはんの時に約1合(300g)、昼と夜はそれぞれ400グラムから500グラムは食べていますね。
それに主菜と副菜、あとは間食も挟んでいます。
他には、脂質はカロリーが高いので、魚の脂などの良質な脂もいただいています。
これらで、今の87kgという体重を維持しています。

 

柏井:

なるほど、他に気を遣っていることはありますか?

 

髙橋:

お肉を食べない代わりに添加物や農薬を摂ってしまったら元も子もないので、野菜は有機野菜を食べるようにしています。
また、添加物を避けていると必然的にお菓子を食べなくなりました。
食べるものが変わってきて、これが体作りに繋がっていると思います。

 

プラントベースで気付いた、自分が大切にしたいこと

 

 

柏井:

今もプラントベースを続けたい理由はどこにありますか?

 

髙橋:

いろんなことに気付く”きっかけ”の1つになっているところですかね。
もちろん、プラントベースというライフスタイル自体が自分に直接影響を与えているのは確かです。
最初は本当に「ヴィーガン」というものに対する興味本位で始めましたが、それをきっかけに環境問題のことやアニマルライツのことも知ることが出来ました。
そして、自分が大切にしたいこと、守りたいことがはっきりしたと思っています。

 

柏井:

髙橋さんの中での「大切にしたいこと」とは何だったのですか?

 

髙橋:

まずは自分自身の健康面です。
アスリートとしてのパフォーマンス向上はもちろんですが、自分には家族がいます。
少しでも長く一緒に過ごしたいと思うので、そのためには健康で長生きすることが第一だと思います。

そして、自然環境です。最近も、豪雨が発生していました。
「やばい、やばい」って言ってるだけでは何も変わらないと思うので、「やばいから、じゃあ何をする?」というところまで踏み込む必要があると思います。
また、動物も大好きですし、無駄な殺生や、動物がひどい扱いを受けることも、ないに越したことはないと思っています。

 

自分が作った堆肥で友人が野菜を育てる、幸せの循環

 

 

柏井:

プラントベースを取り入れてから、ご自身に何か変化はありましたか?

 

髙橋:

精神的に大きく成長したと思います。
お肉を食べない、といういわゆるマイノリティ側に自分が立ったことで、他人に対しての理解が深まりました。
あと、環境のことを考えているうちに、心が豊かになったというか、落ち着いた感覚があります。

 

柏井:

生活で何か変えたことはありましたか?

 

髙橋:

食事以外だと、日用品も選ぶものが変わりました。
シャンプーなどはボトルがリサイクルできるものにしたり、歯ブラシは竹製のものを買ったり。
あとは、コンポストも始めました。

 

柏井:

生ゴミなどから堆肥を作るものですね!

 

髙橋:

はい。つい先日、そのコンポストでできた初めての堆肥を、家庭菜園を持っている知り合いにあげたんです。
そして、その堆肥で育った野菜を自分もいただく予定で、幸せの循環って感じでいいなって思っています。

 

柏井:

とても素敵ですね。きっと美味しい野菜ができますね。

 

 

食生活の送り方も、人生の歩み方はその人それぞれ

 

 

柏井:

最後に読者の方へメッセージをお願い致します!

 

髙橋:

私は、以前はヴィーガンをしていたところから、魚や乳製品を状況に応じて食べるようになりました。
どちらも経験したからこそ、いろんな立場の気持ちが分かるようになったと思っています。

人生の歩み方はその人それぞれ。それは食生活の送り方についても同じです。
スタイルが違えど願うゴールは一緒だと思うので、多様性を受け入れ、互いを想い、理解し合うことが大事だなって思います。
これは、自分がプラントベースから教わったことです。
そういう気持ちを持っていると、自分の周りの人達や、環境、動物達を幸せにできるんじゃないかと思います。

 

 

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