妊娠中のヴィーガン食生活で気をつけたい栄養素を解説!【管理栄養士監修】
インスタグラムで募集した栄養に関するお悩みに、ブイクックの管理栄養士が答えます。
栄養監修
管理栄養士 河原あい フリーランス ライター&コンサル |
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ヴィーガンを実践する上で、妊娠中に気をつけたほうがいい栄養素や食生活はありますか?
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妊娠中は体に様々な変化が現れ、戸惑う人も多いのではないでしょうか?
加えて、妊娠していない時とは違う体の変化が起こるので、お腹の中の赤ちゃんのためにもより一層工夫が必要です。
そこで今回は、ヴィーガン食生活を行う上で、妊娠中に気をつけてほしい栄養素と食事方法について解説します。
妊娠中に起こる食生活と体の変化
エネルギー不足
妊娠中、特に妊娠初期はホルモンバランスが通常と変化することによって、妊娠悪阻(つわり)や食欲不振を感じやすくなります。
加えて、この妊娠悪阻(つわり)が顕著に起こる際に特定の食材を食べられないことも多く、エネルギー不足で痩せてしまう方もいらっしゃいます。
妊娠悪阻(つわり)の原因はホルモンバランスの乱れだけでなく、ストレスによる影響もあると言われています。
そのため、妊娠中の体調管理にはストレス解消も欠かせないポイントです。
栄養バランスの偏りが起こりやすい
妊娠悪阻(つわり)がひどくなると、特定の食材しか受け付けないという場合があります。そうすると、栄養バランスが崩れてしまい、お腹の中の赤ちゃんが必要な栄養素を取り入れられなくなる可能性があります。
母体の体重管理
妊娠中はお腹の中の赤ちゃんが成長するとともに、食事の摂取カロリーを徐々に増やしていくため、母体の体重がどんどん増えていきます。
その体重増加を避けるために、食事制限をするのは危険です。妊娠前の体格にもよりますが、妊娠中の体重増加量が7kg未満になってしまうと、低出生体重児のリスクが上がる可能性があります。
一方で、過度に体重増加が起こると、妊娠糖尿病や高血圧症、巨大児(出生体重が4,000g以上)の可能性が高まります。
▶︎体重増加の目安(妊娠前の体格別)
BMI
18.5未満…12〜15kg
18.5〜25.0未満…10〜13kg
25.0〜30未満…7〜10kg
参考:厚生労働省「妊娠中と産後の食事について」
これはあくまでも目安であり、かかりつけのお医者さんと話し合いながら経過をみましょう。
妊婦さんへのヴィーガン栄養学
妊婦さんが気をつけてほしい(不足・過剰)栄養素は以下の6つです。
①鉄
お腹の中の赤ちゃんが大きくなると、母体の鉄必要量に加えて赤ちゃんに供給する分の鉄が必要となります。その結果、鉄の循環量が増えると同時に、母体での貧血が起こりやすくなる可能性があります。
そのため、厚生労働省の食事摂取基準では、妊娠中に鉄の付加量が定められています。
▶︎鉄の推奨量(成人女性)
月経なし:6.0〜6.5mg
月経あり:10.5〜11mg
付加量
妊娠初期:+2.5mg(8.5〜9.0mg)
妊娠中期・後期:+9.5mg(15.5〜16.0mg)
鉄不足による貧血は母体に負担がかかります。ヴィーガンの場合、鉄不足によって非妊娠期でも貧血になる可能性があるともいわれているので、普段の食事から鉄を一定量食べられるように工夫しましょう。
▶︎おすすめの食材
大豆製品(豆腐、納豆、厚揚げ、豆乳など)、ほうれん草、小松菜など
参考:ヴィーガン食生活でも貧血を防ぐ方法とは?【管理栄養士監修】
■おすすめのブイクックレシピ
vegehealthyさんの「スパイスたっぷり!豆と小松菜のサラダ」
材料(2~3人分)
豆(水煮) 1缶
クミンシード 一つまみ
ターメリックパウダー 小さじ1
塩 小さじ1
コリアンダーパウダー 小さじ1
カイエンペッパーパウダー 小さじ1
ガラムマサラ 大さじ1
オリーブオイル 大さじ1
野菜出汁(粉末) 大さじ1
小松菜 一束
白ごま お好みで
⇒「スパイスたっぷり!豆と小松菜のサラダ」の詳しい詳しいレシピはこちら!
②カルシウム
妊娠中は、鉄と同様にカルシウムもお腹の中の赤ちゃんによって吸収されるため、母体でのカルシウム不足が生じる可能性があります。
2020年の食事摂取基準において、妊婦さんへのカルシウム付加量は特に明記されていません。しかし、現代の女性はカルシウム不足が指摘されており、令和元年度の国民健康・栄養調査では、成人女性(20歳以上、非妊娠/妊娠中)のカルシウム摂取量は494mgと、推奨量(650mg)を大幅に下回っています。
普段の生活でもしっかりとカルシウムを食事から取り入れ、妊娠中もカルシウムを母子ともに吸収できるようにしましょう。
▶︎おすすめの食材
大豆製品、豆類(レンズ豆、ひよこ豆、いんげん)、アーモンド、チアシード、フラックスシードなど
■おすすめのブイクックレシピ
材料(大きめのボックス型1個分)
全粒粉 130g
おからパウダー 70g
ベーキングパウダー 10g
塩 ひとつまみ
アガベシロップ 70g
お好みの加熱できるオイル 50g
豆乳 700ml
チアシード 大さじ2
ポピーシード 大さじ2
⇒「食物繊維たっぷりのシードケーキ」の詳しいレシピはこちら!
③ビタミンD
妊婦さんの場合、外出の機会が減少することや食生活(嗜好)の変化によってビタミンD不足が心配されます。
ビタミンDはカルシウムの骨への沈着を助けるほか、自身の免疫力を上げる働くをしています。
一方で、ビタミンDが不足してしまうと、早産のリスクや妊娠に伴う合併症(糖尿病、高血圧)の原因になる可能性があります。
ビタミンD不足を避けるためにも、体調が良いときには外を散歩する(できれば半袖など皮膚に日光が当たることが好ましい)、キノコ類を食べるなどを心がけましょう。
■おすすめのブイクックレシピ
材料(1人分)
炊いた玄米 115g
だし汁(玉ねぎ、人参、セロリ、しいたけ)150g
無調整豆乳 60g
味噌 3g
塩 適量
ブラックペッパー 適量
しいたけ(だしをとるときに使ったもの) 45g
ほうれん草(茹で) 30g
素焼きピスタチオ 適量
黒胡麻 適量
⇒「野菜とキノコのうまみたっぷり豆乳雑炊」の詳しいレシピはこちら!
④ビタミンB12
非妊娠期においても不足しやすいと言われているビタミンB12も、妊娠中には大切な栄養素です。
ビタミンB12が不足してしまうと、流産や低出生体重児の可能性が高くなるため、普段の食事から工夫しておくことが大事です。
▶︎ビタミンB12推奨量
成人女性:2.4μg/日
妊娠中:2.8μg/日
▶︎おすすめ食材
ニュートリショナルイースト、ビタミンB12強化カイワレなど
■おすすめのブイクックレシピ
材料(2人分)
ニンニク 2かけ
玉ねぎ 半分
エリンギ 3本
ブロッコリー 2つかみ
玄米 1カップ
お水 2.5カップ
豆乳 1カップ
昆布だし(粒状) 8g
ソイミート 半カップ
塩胡椒 適量
(ニュートリショナルイースト) 大さじ3
⇒「1つの鍋で!エリンギのクリームリゾット」の詳しいレシピはこちら!
⑤オメガ3脂肪酸
不飽和脂肪酸の一種であるオメガ3脂肪酸は、赤ちゃんの目や脳、神経系の正常な生育に必要です。
普段の食事でも大切ですが、妊娠中はより意識してオメガ3脂肪酸を食事に取り入れるようにしましょう。
▶︎おすすめ食材
海藻類、くるみ、アーモンド、チアシード、フラックスシード
■おすすめのブイクックレシピ
材料(瓶1杯)
焼き海苔 長方形10枚分
水 300ml
醤油 大さじ2
お酒 大さじ3
きび砂糖(メープルシロップでも可) 大さじ2
昆布だし 小さじ2
鷹の爪(お好み) 1本
⑥亜鉛
亜鉛は動物性食材(牡蠣やレバーなど)に多く含まれ、ヴィーガン食では不足しやすいと言われています。
加えて、妊娠中の亜鉛不足は低出生体重児や早産のリスクを高めると言われ、注意が必要です。
▶︎亜鉛の推奨量
成人女性:8mg/日
妊娠中:10mg/日
▶︎おすすめ食材
ココア、豆腐、レンズ豆、ひよこ豆、テンペ、ヘンプシード、カボチャのたねなど
■おすすめブイクックレシピ
材料(1人分)
オーツ 20g
ナッツ 10g
ココアパウダー 5g
バニラエクストラクト 少々
ココナッツミルク 5g
デーツ 20g
バナナ 25g
ココアパウダー 5g
まとめ
今回はヴィーガン食生活における、妊娠中の女性の食生活や不足しやすい栄養素についてお話しました。
日本国内ではヴィーガン人口がまだまだ少なく、周りにヴィーガンの人やお医者さん、管理栄養士の先生がいないことから不安に思うことが多いかと思います。
とはいえ、動物性食材を摂らない妊娠生活は問題ないという報告もあります。
重要なのは、ご自身の体と向き合って、不調が現れたらすぐにかかりつけの病院に行くことや、普段の食事以上に栄養バランスや生活習慣を見直すことです。
もしつわりがひどく、十分に食事が取れない場合はサプリメントも併用するようにしましょう。
また、毎週土曜日にみなさまの栄養に関する疑問にお答えしています。ブイクック公式インスタグラムで質問募集していますので、お待ちしております!
ブイクックには栄養バランスがとれてお手軽に作れるヴィーガンレシピが数多く掲載されています。
ビタミン豊富な食事を摂りたい方はぜひお試しください!