ヴィーガンはベストな自分になるための方法。登録者数9.6万人YouTuberの伝言
「世界に広げようヴィーガンの輪」をテーマに、ヴィーガン・プロフェッショナルの方々から、ヴィーガンライフに役立つヒントやお知恵をいただくリレーインタビュー。最終回は、菜食・ヨガ・田舎暮らしをテーマとした登録者数9.6万人の大人気YouTubeチャンネル「TOKYO VEG LIFE」 のNatsukiさんです!
Natsuki・profile
高校から9年間を単身アメリカで過ごす。帰国後、証券会社、財務系コンサルティング会社勤務を経て、翻訳やコンサルティングを行うフリーランスに転身。ヨガをきっかけに菜食を始めたことで、生き方そのものを見直すようになり、2018年、YouTubeチャンネル「TOKYO VEG LIFE」を開設。ヴィーガン、ヨガ、サステイナブルなライフスタイルを発信するほか、初のレシピ本やオリジナルチーズの販売など、活躍の場を広げている。
昨日まで滞在していた中国のヴィーガン事情
そいみん:今日は中国 (成都市) から帰ってこられたばかりのところ、インタビューにご登場いただき、ありがとうございます。まずは、現地のヴィーガン事情、聞かせてください!
Natsuki:中華料理というと、肉や魚をふんだんに使っていて、出汁も鶏ガラというようなイメージを持たれると思いますが、もともと宗教 (仏教) のベースがある国なので、あたりまえに菜食があります。ただ、日本と違って、ヴィーガンという言葉やコンセプトは浸透していません。菜食といっても、卵や乳製品が含まれていることもあります。もちろん、お店で肉や魚、卵などを抜いてほしいとお願いすれば、たいていどこでも喜んで対応してくれます。
そいみん:そうなんですね!じゃあ、ヴィーガンにとって中国は訪れやすい場所なのですね!
Natsuki:いや、それはどうでしょう……英語がほとんど通じないので、中国語で説明する必要はありますけどね。言葉だけでなく、レストランの対応も日本とは感覚が全く違うので、戸惑うかもしれません。
そいみん:感覚の違いとは?
Natsuki:たとえば日本だと、ある顧客だけにヴィーガン対応するのを面倒くさがったり、味を変えたくないという店もありますよね。中国は逆に、肉や魚を抜いていいなら、調理も楽だし、コストも抑えられて儲かるからラッキー!というような感じで、喜んで対応してくれます (笑) 。
そいみん:なるほど。ヴィーガンフレンドリーってわけでもなく、そもそもの考え方が違うわけですね。面白い!
ヨガとヴィーガン、長野の暮らし
そいみん:現在、東京から長野に居を移されてますが、なぜその場所を選ばれたのでしょうか。
Natsuki:もともと両親がセカンドハウスを持っていて、子供の頃から慣れ親しんだ場所だったんです。ここ数年、私自身が都会の暮らしに少し疲れを感じていたのもあって、家族が身近にいる長野に家を新築して、東京と半々で過ごそうと決めました。ところが、家が完成する直前で、コロナが日本国内でも蔓延してしまった。それを機に、完全に引っ越すことにしました。
そいみん:とても広くて、解放感のある大きなお家で素敵過ぎます!Natsukiさんといえば、ヴィーガンの方も多いヨギーニ (ヨガをする女性のこと) 。ヨガとの出会いは?
Natsuki:アーユルベーダ (インド・スリランカで生まれた5000年の歴史を持つ医学療法) や2週間の朝ヨガクラスをスリランカ旅行で体験したことがきっかけです。体も心も解き放たれるような、ヨガのデトックス効果を持続したいという思いから、日本に帰国後も毎朝ヨガを続けるようになりました。同時に、ヨガの哲学アヒムサ(不必要な暴力を避け、生き物のいのちを大切にすることなど)を知り、ヴィーガンにも興味を持つようになったんです。
ヴィーガンとYouTubeのきっかけ
そいみん:ヨガの哲学が、ヴィーガンになったきっかけというのも興味深いです。現在は、ご自身でもヨガクラスを開講なさってるようですね。
Natsuki:長野に来てから、オンラインで複数の方々と朝ヨガチャレンジ (平日5日間、瞑想とヨガを行うプログラム) を不定期で開催しています。ヨガのあるライフスタイルは、心身ともに健康的になれますし、一人で行うヨガ・瞑想もいいのですが、みんなでやると、また違う楽しさや相乗効果があるんですよ。
そいみん:食生活に気をつかうのも大事ですが、まったく運動しなかったり、不眠や心にストレスがあると、健康が保てないですよね。そう考えると、ヴィーガン菜食+ヨガ+自然に囲まれた暮らしは、本当に理想的でうらやましいと感じる方も多いでしょうね。ほかにも、Natsukiさんは環境問題や動物愛護にも強い関心をお持ちですね。
Natsuki:昔、インドに住んでいたことがあり、当時は新鮮な肉や魚が手に入らないことから、菜食中心の生活をしていたんです。その反動で、日本や他の国に行くと、ステーキやお寿司などをいっぱい食べていました。ところがある時、私がこうした料理を食べるために、誰かがかわりに生き物を殺めている、私がやらせているんだ、という現実を無視できなくなったんです。そこまでして肉や魚を食べなくてもいい、と考えるようになりました。
ヴィーガンになる決心をした時は、野菜中心で栄養はちゃんと摂れるのか、心配な点もありました。当時はほとんど情報がなく、日本のヴィーガンYouTuberも少なかったんです。レシピも日本語表記のものはないし、海外の人が発信していたヴィーガンの和食メニューも、どこか満足できなかった。そこで、自分と同じように困っている人がいるはずだし、私が試行錯誤して学んでいく過程をシェアすることで、少しでも誰かの助けになればいいなと思ってYouTubeを始めました。
そいみん:環境に配慮したエコな生活など、発信のテーマもどんどん広がってますね。
Natsuki:伝えたいことが、どんどん増えてきてます。
レシピ本やオリジナルチーズの裏話
そいみん:Natsukiさんのレシピやクッキング動画が大人気ですが、2021年に発売されたレシピ本は、53品もの、いろんな国のお料理が再現できるよう、動画特典まで付属した盛りだくさんの内容ですね。
Natsuki:野菜の楽しみ方や、献立の組み方、ヴィーガンの人はもちろん、そうでない人にとっても役立つような本にしたかったんです。普段あまり料理をしない方だと、文字や写真だけのレシピではわかりづらいと思い、大変な作業になりましたが全メニューの動画も収録しました。
そいみん:とても親切なレシピ本だなと感じました。オーガニックコットンを使ったオリジナルエプロンも本とセット販売されるなど、いたるところに「TOKYO VEG LIFE」、Natsukiさんのエッセンスが詰まってますね。
そいみん:Natsukiさんプロデュースの100%ヴィーガンチーズブランド「faux-mage」も好評ですね!ヴィーガンになりたくても、チーズが止められないから無理という声も多いから、これはうれしい商品ですね。
Natsuki:実は私……大のチーズ好きというわけでもなく、チーズに特別なこだわりがあったわけでもないんです。全くの思いつきで、始めた事業。
そいみん:えー!こんなに、こだわり抜いて作られたチーズなのに??(faux-mageは、100%自然由来の素材で、人工的な味つけや着色料、化学調味料や保存料不使用、サステナビリティにも100%コミットしたチーズ製品)。
Natsuki:チーズ開発の前に、レシピ本を出版したのですが、YouTubeで配信するだけでなく「本」という「形」で残せたことから、さらに有形のサービスができないかと考えた時、チーズを思いついたんです。
そいみん:そういえば「発酵」をテーマにした配信もされていましたね。とにかく、Natsukiさんの豊富な知識と探求心には、毎回関心してしまいます。
Natsuki:研究することが大好きなので、一度思いつくと、どんどんのめりこんでしまうクセがあるんです。チーズもそんな感じです。
そいみん:そうはいっても、長野の工房で手づくりのチーズを商品化することは、相当大変だったのでは?
Natsuki:イメージしていたとおりになった部分もあるし、もちろん難しかった部分もあります。菌って、生物じゃないですか。工場で温度や味などを一定に保つよう管理できれば、毎回安定した製品をお届けできますが、小さな工房で作っていると、その時々でチーズの出来栄えは変わってしまいます。そこが、面白くもあり、苦労する点です。何度も何度も、試行錯誤を繰り返して、ようやく完成させることができました。
ヴィーガンになってよかったこと
そいみん:NatsukiさんのYouTube配信も、かなりの数になってきましたね。あらためてヴィーガンになって良かったことを聞かせてください。
Natsuki:結論から言うと、今起こっている環境や社会の問題、個人の健康の問題などについて、多くの学びが増え、人とのつながりも広がり、生活が豊かになったことでしょうか。ヴィーガンになって、自分の考え方や生活はすべて180度良いほうに変わったと感じます。
住環境をガラリと変えるのはさすがに難しいと思いますが、ヨガを取り入れたり、ヴィーガン食については情報も増えてきて、誰でも思うより簡単に試せるようになってきました。もしヴィーガンに興味があれば、実践してみることで自分の生活を見直すきっかけになるかもしれません。
動物性食品を食べなくなると、肉や魚・卵などに含まれる栄養素は得られなくなってしまいます。そこで、ほかにどんな食材で補えるのかを自然に学んだり、ヴィーガンになるまでは特に気にしたことのなかったバランスの取れた食事を心がけるようになるはず。
今まで食べたことのなかった野菜や穀物がたくさんあることにも驚くでしょう。料理が得意な方なら、ますますクリエイティブで楽しい食生活になると思いますよ。
まとめ〈インタビューを終えての感想〉
「ヴィーガンを軸に、いろいろなアンテナを張って、人生を選択していってほしい……特に若い方は、ヴィーガンを体験してみることが、考え方の改革になるかも!」と語ってくれたNatsukiさん。
動物を殺めることに知らず知らずのうちに自分が加担していることや、生きる上でのさまざまな疑問、心のひっかかりに目をそらさず、責任を持った生き方をしたくてヴィーガンを選択した一人。今後も、グローバルな視点を持った興味深い発信を続けてくれることでしょう。
さて、ヴィーガンのプロフェッショナルをリレー形式で繋いだインタビューシリーズ。いかがでしたか?自分に素直に生きることで、理想のライフスタイルも手に入れられること、ヴィーガンはそのきっかけとなり得ることを、ゲストのみなさんがそれぞれに伝えてくれたような気がします。あなたのヴィーガンライフも、ますますHappyになりますように!